刑事手続への積極的関与

捜査段階におけるサポート

■警察との折衝、対応

裁判になってからしか弁護士に依頼できないとお思いの被害者の方もいらっしゃいますが、実は、裁判になるかどうかまだわからない捜査の段階から弁護士に依頼することが可能です。
警察や検察に対して捜査の進捗を確認したり、遅い場合にはその理由を問い、しっかりとした理由をつけて適切な捜査を促したりすることがおもなサポート内容になりますが、性犯罪被害に遭われた方や小さなお子さんの場合等には、事情聴取の際に同行したりすることもあります。

■告訴状、被害届提出

また、捜査が始まる前、被害届や告訴状を提出する段階であっても、場合によっては警察が受理を拒むことがあるため、弁護士による適切な書面作成が重要になってきます。

■検察審査会への不服申立

さらに、捜査の結果、起訴しない(裁判にかけない)と検察官が判断した場合には、検察審査会に対して不服を申し立てるなどの手段をとることも可能です。この不服申立書には法的に整理された記載が必要になるため、弁護士による書面作成サポートが有用です。

被害者参加制度

加害者を罪に定めるか否かを決定する刑事裁判は、従前はもっぱら国と加害者(被告人)との間で行われる手続であると認識されていたため、被害者の方は、当事者であるにもかかわらず手続に参加できず、蚊帳の外におかれていることが常でした。
しかし、近年、事件の当事者であって一番苦痛を感じている被害者の方の思いを裁判の場で適切に考慮することの重要性が指摘され、これによって被害者が主体的に裁判に参加できる制度が整備されました。
この制度に基づけば、以下のような積極的関与が可能になります。

・法廷で検察官の隣などに座り、まさに当事者として裁判に参加できる
・検察官の訴訟活動に対して意見を述べたり、説明を求めたりすることができる
・公判廷で、被告人に質問をすることができる
・被告人の情状に関する証人に対して、その信用性等が問題となる場合に証人を尋問できる
・事実または法律の適用について、裁判所に対して意見を述べることができる

このような主体的参加は、もちろん被害者の方ご本人ですべてを行うことも可能ですが、一般の方は裁判所に行ったことすらないという方がほとんどであると思われますし、専門的な話が飛び交う法廷で、なにがなんだかわからないまま裁判が終わってしまった、ということにもなりかねません。
そのため、このような主体的活動をより実りあるものにするため、弁護士がサポートやアドバイスをしたり、代わりに法廷で質問をしたり意見を述べたりしたりさせていただいています。

ご依頼いただいている方のうち、多くの方は、専門的な予備知識が必要な上記事項については弁護士に代わりに行ってもらい、ご自身は傍聴をしつつ、後述する心情等の意見陳述については自ら証言台に立って行う、という選択をされています。
もちろん、すべてを弁護士に任せてもよいですし、その逆で、すべてをご自身で行い、弁護士はアドバイス・手続等の後方支援に回るというかたちのサポートも可能です。これは事情に応じて、メリット・デメリットを考えたうえ、ご自身で決定していただくことになります。決定するにあたり、アドバイスは丁寧にさせていただきますので、まずはご相談ください。

心情等の意見陳述

被害者の方は、上述した被害者参加制度を用いなくても、ご自身のざっくばらんな気持ちを裁判で訴えることが可能です。
直接被害者の方が気持ちを述べることで、裁判所もそれをふまえて被告人の量刑を判断することができるようになりますし、目の前で話を聞いている被告人の反省を促すことにもつながります。
直接の被害者ではない方の場合は、今までは被害者が死亡した場合のその遺族の方に限定されていましたが、現在は、被害者の心身に重大な故障がある場合にも意見を述べることができるようになりました。

なお、強制わいせつの事案等、自分の顔を被告人や傍聴人の前に出したくないという場合は、遮へい措置を施した状態で安心して意見陳述をしていただくこともできます。

意見の内容については、気持ちが伝わることが一番大切であり、必ずしも上手に話さなければいけないというものでもないので、ご自身ですべて考えていただいてもよいのですが、裁判の場で自分が言いたいことをちゃんと言えるか心配であったり、原稿をちゃんと作れる自信がなかったりする方に対しては、弁護士が代わりに原稿を作成するサポートも行わせていただいております。
もちろん、被害者の方の生の思いを正確に反映させるため、内容については丁寧な打ち合わせに基づいて練らせていただきます。裁判本番は、弁護士の作成した陳述書に基づいて、それを朗読するかたちで意見陳述をすることが可能ですので、極力緊張しないような状態で、安心してお話ししていただけます(それでもうまく話せる自信がないという方の場合は、弁護士が代読することも可能です)。

損害賠償命令制度

刑事裁判の起訴状に記載された犯罪事実について、その結果生じた損害の賠償を刑事裁判所の法廷で被告人に命令することが可能になりました。
この制度は、殺人、傷害などの行為の犯罪行為により人を死亡させたり傷つけた事件等の被害者またはその相続人等の方が利用できるのですが、制度が創設された時の予想ほどは円滑に機能していない現状があります(結局は民事裁判所に移送されてしまったり、損害額の認定に手間がかかったりする)。
しかし、事案によってはこの制度を利用することが有効である場合もあります。その際は、裁判所・検察官との連携も必要になってくるため、ご自身でこの制度の利用の適否を判断することは難しいかと思います。
損害を回復するという民事的な手段を刑事の手続において行う制度ですので、いわば刑事と民事のかけ橋のような存在と言えますが、これについては民事・刑事両方について横断的な知識を有している必要がございますので、専門知識のある弁護士に相談するほうがよいといえます。

公判記録・請求証拠の閲覧

被害者の方は、公判中の記録の閲覧・コピーを裁判所に申し出ることが可能ですが、上述した被害者参加を行えば、検察官が裁判所に提出する予定の証拠を事前に閲覧することが可能になります。
このような手続きも、弁護士がついていればすべて代わりに行わせていただきますし、証拠の内容の説明や見通しなども丁寧に説明させていただきますので、安心して裁判に臨んでいただくことが可能になります。

まとめ

以上のとおり、刑事裁判において被害者の方は主体的な参加をすることが可能になっていますが、いまだその内容は専門的かつ難解で、一般の方には親切ではない内容になっています。
そのため、弁護士がサポートさせていただくことで、より主体的に、正確に、自身の思いを裁判所に訴えていただくことが可能になり、なにがなんだかわからないうちに裁判が終わってしまったという事態も防ぐことができます。

被害者の方のほとんどは、最初は「自分が裁判に参加するなんて……行ってみたい気持ちはあるけど、不安だし……」というお気持ちでいらっしゃいますが、弁護士の協力のもと裁判に主体的に関わったあとは、皆様例外なく「やってよかった」とおっしゃいます。
たった一度の機会ですから、悔いのないようにすべきであると思います。そのお手伝いを、全力でやらせていただきます。

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