損害の金銭的補償

犯罪によって、被害者の方は身体的・精神的に多大な損害を被ります。

これに対する補償は当然なされるべきものであるのに、我が国の制度上、被害者の側から主体的に法的な主張をしていかなければ補償がなされることはありません。
このような主張は法的にも医学的にも専門的な内容を含むものですので、適切な主張をするためには弁護士によるサポートが重要になってきます。

損害賠償請求

犯罪被害による損害を金銭的に補償してもらうためには、原則として、犯罪行為を行った加害者に対して損害賠償請求をすることになります。手段としては、加害者と直接示談交渉をして支払ってもらうほか、裁判や調停の場に訴える方法があります。

身体的損害・精神的損害を問わず、損害を金銭的に評価することはとても難しいことです。
古くから、各種損害の評価をめぐってさまざまな見解が対立し、日々裁判例が生まれているという状況です。そのような中で、当法人は交通事故の被害者側専門の代理人として圧倒的多数の案件を扱ってきた実績から、被害者の方の視点に立って多くの補償を勝ち取るためのノウハウを身につけています。そのため、事案に即して適切なアドバイスが可能であると自負しております。

また、故意の犯罪行為の賠償責任を肩代わりする保険などは当然ありませんから、多くの加害者は被害者の方の損害を十分に補償できるほどの資力がないことが多いです。そのため、示談交渉で納得のいく補償が得られない場合は、強制執行なども視野に入れて、訴訟や調停を起こす必要があります。
そのような手続きは示談交渉以上に法的な知識・視点が必要になりますから、この点においても弁護士による法的サポートが有用になります。

犯罪被害給付制度

先に述べたとおり、加害者から金銭的に十分な補償を得るのは難しいケースが多いため、その場合は公的な支援制度を活用することが重要になります。

さまざまな公的制度が存在しますが、その中で代表的なものは、故意の犯罪行為によって死亡ないし重大な後遺障害が残った方に対して国が給付金を支給する、犯罪被害給付制度です。
申請は警察署または警察本部に対して申請書を提出することにより行うことになりますが、この際、医師による診断書等、後遺障害を立証する資料が必要になります。適切な補償金を得るためにはこれらの資料の適切な準備が不可欠であり、適切な準備のためには医学的な知識や認定基準の正確な把握が必要になります。
先に述べたとおり、当法人は交通事故の被害者の方の代理人として日々活動している経験から、後遺障害の認定基準等には特に精通しており、関連する医学的な知識や、どのようなポイントを押さえて診断書を書いてもらえばいいかといったノウハウの蓄積があります。

■障害給付金(被害者に後遺障害が残った場合、程度により3974万4000円~18万円)

被害者に後遺障害が残ったと場合とは、次の表に定められるような障害を残していることが証明できる場合をいいます。
具体的案給付金額は少し複雑な計算をする必要があります(下記表のカッコ内は給付金の最大額と最低額、計算の基礎となる倍数)。

障害等級 身体上の障害
第一級
  • 両眼が失明したもの
  • 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  • 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
  • 両上肢の用を全廃したもの
  • 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
  • 両下肢の用を全廃したもの
    (常時介護を要する場合 1900万8000円~3974万4000円
    常時介護を要しない場合 1425万6000円~2980万8000円)
第二級
  • 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になったもの
  • 両眼の視力が〇・〇二以下になったもの
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  • 両上肢を手関節以上で失ったもの
  • 両下肢を足関節以上で失ったもの
    (随時介護を要する場合 1425万6000円~2980万8000円
    随時介護を要しない場合 1230万9000円~2573万7000円)
第三級
  • 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になったもの
  • 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  • 両手の手指の全部を失ったもの(1056万円~2208万円)
第四級
  • 両眼の視力が〇・〇六以下になったもの
  • 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  • 両耳の聴力を全く失ったもの
  • 一上肢をひじ関節以上で失ったもの
  • 両手の手指の全部の用を廃したもの
  • 両足をリスフラン関節以上で失ったもの ( 331万2000円~1269万6000円 )
第五級
  • 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になったもの
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 一上肢を手関節以上で失ったもの
  • 一下肢を足関節以上で失ったもの
  • 一上肢の用を全廃したもの
  • 一下肢の用を全廃したもの
  • 両足の足指の全部を失ったもの ( 284万4000円~1090万2000円 )
第六級
  • 両眼の視力が〇・一以下になったもの
  • 咀嚼 又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  • 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  • 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  • 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  • 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  • 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  • 一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失ったもの
    ( 241万2000円~924万6000円 )
第七級
  • 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になったもの
  • 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  • 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  • 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 一手の母指を含み三の手指を失ったもの又は母指以外の四の手指を失ったもの
  • 一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの
  • 一足をリスフラン関節以上で失ったもの
  • 一上肢に偽関節を残し、著しい障害を残すもの
  • 一下肢に偽関節を残し、著しい障害を残すもの
  • 両足の足指の全部の用を廃したもの
  • 外貌に著しい醜状を残すもの
  • 両側の睾丸を失ったもの ( 201万6000円~772万8000円 )
第八級
  • 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になったもの
  • 脊柱に運動障害を残すもの
  • 一手の母指を含み二の手指を失ったもの又は母指以外の三の手指を失ったもの
  • 一手の母指を含み三の手指の用を廃したもの又は母指以外の四の手指の用を廃したもの
  • 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
  • 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  • 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  • 一上肢に偽関節を残すもの
  • 一下肢に偽関節を残すもの
  • 一足の足指の全部を失ったもの ( 162万円~621万円)
第九級
  • 両眼の視力が〇・六以下になったもの
  • 一眼の視力が〇・〇六以下になったもの
  • 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  • 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  • 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  • 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  • 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  • 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
  • 一耳の聴力を全く失ったもの
  • 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  • 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  • 一手の母指又は母指以外の二の手指を失ったもの
  • 一手の母指を含み二の手指の用を廃したもの又は母指以外の三の手指の用を廃したもの
  • 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの
  • 一足の足指の全部の用を廃したもの
  • 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  • 生殖器に著しい障害を残すもの ( 126万円~483万円 )
第十級
  • 一眼の視力が〇・一以下になったもの
  • 正面視で複視を残すもの
  • 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  • 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
  • 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  • 一手の母指又は母指以外の二の手指の用を廃したもの
  • 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
  • 一足の第一の足指又は他の四の足指を失ったもの
  • 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  • 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
    ( 97万2000円~372万6000円 )
第十一級
  • 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  • 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  • 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  • 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  • 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  • 脊柱に変形を残すもの
  • 一手の示指、中指又は環指を失ったもの
  • 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
  • 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
    ( 72万円~276万円 )
第十二級
  • 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  • 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  • 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  • 鎖骨、胸骨、肋骨、肩胛骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  • 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  • 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  • 長管骨に変形を残すもの
  • 一手の小指を失ったもの
  • 一手の示指、中指又は環指の用を廃したもの
  • 一足の第二の足指を失ったもの、第二の足指を含み二の足指を失ったもの又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの
  • 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
  • 局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 外貌に醜状を残すもの ( 50万4000円~193万2000円 )
第十三級
  • 一眼の視力が〇・六以下になったもの
  • 正面視以外で複視を残すもの
  • 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  • 両眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの
  • 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
  • 一手の小指の用を廃したもの
  • 一手の母指の指骨の一部を失ったもの
  • 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
  • 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの
  • 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
    ( 32万4000円~124万2000円 )
第十四級
  • 一眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの
  • 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  • 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  • 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  • 一手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
  • 一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
  • 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
  • 局部に神経症状を残すもの ( 18万円~69万円 )

■遺族給付金(被害者が死亡した場合、2964万5000円~320万円)

被害者が死亡した場合に遺族に支払われる給付金です。
遺族とは、被害者の、配偶者(内縁関係にあったものを含む)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹をいいます。このうち、遺族給付金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、被害者の収入で生計を維持していた子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順となります(なお、父母については養父母が先順位となり、実父母が後順位となります。)。

また、給付金額は、被害者の収入や年齢、被害者の収入で生計を維持していた遺族の数などによって異なります。

その他の公的給付制度

犯罪被害給付制度以外の公的給付制度としては、障害者年金や遺族年金、健康保険の傷病手当金などがあります。また、業務中に犯罪被害に遭われた方(たとえば、タクシー運転手の方がタクシー強盗の被害に遭い怪我をした場合など)は、労災保険による障害(補償)給付や休業補償などを受けることができます。
これらの制度は横断的に考える必要がありますので、ご相談いただければ事案に応じてアドバイスが可能です。

相談料は無料です。
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